今回は、「Curator's Pick」でコラボレーションしているGalerie MO11のディレクター、エスペランサ・ベルダがまとめたレポートから、アート市場の現在地についてご紹介します。
グローバルなアート市場は現在、取引総額という意味では収縮局面にあります。しかし同時に、取引件数は増加し続けています。そして、その多くは5,000ドル以下の価格帯によって牽引されています。
数字が示しているのは、市場の縮小ではなく、裾野の拡大です。新しい世代のコレクターが、静かに、しかし確実にアートの世界へと参入しています。彼らを動かしているのは投資だけではありません。作品そのもの、そしてその背後にある創造に直接関わりたいという、もっと根源的な欲求が、意識的、無意識的に関わらずあるようにみえます。
現代アートが今、特別な位置を占めているのはそのためです。モダンアートや戦後美術の市場がすでに成熟し、参入に大きな資本を必要とするのに対し、現代アートの領域では、作品の価値はまだ形成の途中にあります。価格はその作家の現在地だけでなく、これからの活躍の伸び代—展覧会、キュレーターによる評価、国際的な展示—を反映します。
ベルダはレポートのなかで、印象派のコレクターたちを引き合いに出しています。モネ、ルノワール、ドガを初期に支持した人々は、彼らの評価が定まっておらず、既存の価値基準から遠い存在だった頃にコレクションしました。それは、投機ではなく、文化的な先見性もあるコレクションだったと言えるでしょう。
市場の動向や先の流れを感じ取る感性、それは歴史を通して、コレクションを育てるということの本質であり、これからもそうあり続けます。
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「Curator's Pick」初の海外ギャラリー・コラボレーションとして、カンヌのアートシーンを牽引するGalerie MO11を迎えました。エスペランサ・ベルダがディレクターを務めるMO11は、新進・中堅作家の実験的な対話を通して、ピカソやマティスといった巨匠たちの作品を現代的な視点でキュレーションするプログラムが特徴です。
今回は、2回に分けてMO11のアーティストAnaïs Vindel、Ignasi Buneriの作品をそれぞれテーマとともに選び紹介する機会をいただきました。それぞれの作品、テーマなどがご覧いただけます。
ArticleCurator's Pick MO11 Collaboration"Before the Form" Ignasi Buneri