夢と語り現実と夢の合間に漂う物語の断片たち。
子どものような視線と、どこか奇妙な親しさが、記憶の中で交差するような作品たちをご紹介します。
眠りと覚醒のあわいに立ち現れるのは、忘れかけたまどろみの記憶です。
大きな服のなかで密やかに集う小さな影たち、大きな赤に溶けていく夜の気配、そして青い入れ物の上で静かにこちらを見つめる無垢なまなざし。古びた絵巻から抜け出したような不気味で愛らしい妖怪たちが戯れ、階段で顔を持たない人々が会話を交わしています。
これらの情景は、懐かしさと不穏さを同時にたたえ、私たちに奇妙な親しみをもたらします。言葉になる前の感情や、いつか見た夢の余韻が静かに響き合う空間。それらは、幼い頃に触れた物語のように、現実の輪郭をそっとほどいてくれるのかもしれません。
Nostalgic Graphic今回の「Curator’s Pick」は、東京の原宿・表参道を拠点に最前線の現代アートを発信するSH GALLERYとのコラボレーションです。80年代〜2000年代の日本サブカルチャーへの敬意とノスタルジーを原点に、ストリートアートとファインアートの境界を軽やかに横断する福岡拠点のアーティスト、Backside works. の最新作をご紹介します。
今回のテーマは、“Nostalgic Graphic” です。鮮烈な色と伸びやかなラインが、思わず目を奪われるヒロインを鮮やかに浮き彫りにしています。 足元に浮かび上がるピンクの魔法陣と、漆黒のツノに紫の髪をたずさえた少女。しなやかに身体を丸めるポーズのニュアンス、挑発的に舌をのぞかせる表情、そして画面上で異彩を放つ昭和〜平成アニメを彷彿とさせるキャッチーなロゴタイトル。
レトロなマンガ・特撮の視覚言語と現代的なポップセンスが融合し、キャンバスの中に閉じ込められた彼女たちは、今にもフレームを飛び出してこちら側に語りかけてくるような存在感を放ちます。
目が合った瞬間にふっと心を掴まれるような、ポップでチャーミングな雰囲気を持つ Backside works. の世界が感じられます。
生命の気配気配は、はっきりとした形を持つ前に、すでにそこに漂っています。
一本の細い線が、葉脈のように枝分かれしながら画面を斜めに横切っています。葉の茂みの中では羽を休める姿があり、木立の間には、静かな影が沈んでいます。
そのどれもが、遠くから見れば風景の一部にすぎません。けれど近づくほどに、線は血管に、羽は呼吸に、揺れは鼓動に変わってゆきます。生命は姿としてではなく、まず気配として、細部の中に潜んでいます。近づくという行為そのものが、すでに生命への応答なのかもしれません。